「ちわっす先輩ー。どうしたんスか、珍しく沈んでますけど」
「ああ竹谷・・・いや今どうでもいいこと考えててね」
「何すか?どうでもいいことって」
「うん・・・私がもし巨乳だったらどうしようかと思って」
「ああ・・・本当にどうでもいいことなのかよ!ちょっと心配しちゃったじゃないですか!」
「優しいね竹谷はー。留とか文次なんか私が眠くて半眼になってるだけで『何企んでるんだ』とか言ってくるのに・・・それも飛びのく勢いで」
「自業自得って奴でしょう」
「あれまサブちゃん久しぶり。ご挨拶だなあいきなり」
「サブちゃんって言うな」
「可愛いじゃんサブちゃんって」
「可愛さなんか求めてないです」
「そうなの?でも既に可愛いからね三郎は!ねえ竹谷」
「そうっすね。三郎は可愛いですね」
「てめえハチ!何賛同してんだ!」
「どうしたの三郎。ハチも。あ、先輩こんにちは」
「ハイこんにちは雷蔵。今ねー三郎が可愛いよねって話をしてたのー」
「可愛くねーよ!」
「うん、三郎は可愛いですよ」
「えっ・・・雷蔵・・・えっ・・・」
「困ってる困ってる 竹ちゃん御覧三郎が困っているよ!」
「かわいー!鉢屋くんカワイー!」
「可愛いとかいうなバカヤロー!」
「こら三郎!先輩に失礼じゃないか」
「俺のイメージには失礼じゃないんですか雷蔵!?」
「三郎のそういう・・・自分のイメージに対する疑いの無さ?みたいなのが私凄く好きだよ・・・愉快で」
「その慈愛に満ちた目を今すぐやめろ」
「あ、そういえば先輩、食満先輩が探してましたけど」
「え、嘘?怒ってた?」
「いえ別に・・・何か用があるみたいでしたよ」
「何で即怒ってた?に繋がるんですか」
「留三郎が私を呼び出すときは大体怒ってるときか委員会手伝って欲しいときかどっちかなのよ竹ちゃん」
「怒られる心当たりがあるんですか」
「それはもうごまんとあるよ!」
「(聞かなきゃ良かった)」
「委員会って・・・食満先輩は用具委員会ですよね?何を手伝うんですか?」
「普通に材木運びとか。あそこは下級生ばっかだしねー」
先輩が?」
「うん。修理とかには呼ばれないけど。留のほうが器用だから」
「全く女扱いされてないですね」
「いや、留三郎はかなり優遇してくれてるほうだと思うけど」
「・・・・・・・・・他の先輩方にはどんな扱いを・・・」
「あっはっは聞きたい?雷蔵聞きたいの?」
「!!遠慮します・・・!」
「少なくともろくな扱いは受けてなさそーだな」
「そうなんだよー。まあちょっと軽いところから言うと執拗にダメ出しされたり石投げられたり全員分荷物もたされそうになったり」
「あんまり堪えてないみたいですけど」
「そのぐらいで堪えてたら六年も友情続かないよ。まあ私も相当やってるし」
「先輩、自覚あったんですか・・・。はは、なんだかんだで仲良しですねえ」
「仲良しだよ!」
「・・・そういえば先輩って全然くの一と一緒にいないっすね」
「同学年いないからねー。まあ女の子の方が私に優しいんだけど」
「アンタくの一から矢鱈人気ありますよね」
「・・・・・確かくの一教室の彼氏にしたい忍ランキングに入ってませんでしたか?」
「え?あれ男子のほうにも流れてるの?入ってたよ、二位で」
「口伝えでですけどね・・・。二位ってすごくないですか」
「ちなみに一位はだれですか!?」
「ん?栄えある一位はフリーのプロ忍者山田利吉さんです!」
「ああ。妥当ですねー」
「そうかなー。趣味悪いだろ」
「あ、三郎もそう思う?あのひと絶対将来すごい挫折すると思うんだ」
「つーか性格悪そうじゃないですか」
「いや、性格は悪くないよ。ちょっと・・凄く非常に微妙にアレなだけで」
「凄く非常に微妙にアレってなんですか」
「一緒に仕事すればわかるよ!」
「(・・・・触れないでおくべきか・・・いや・・・)」
「(あ、雷蔵が迷ってる)」
先輩はくの一に告白されたりとかしたことあるんすか?」
「あるよ。最近はないけど。ピークは四年のときね。当時六年のくの一四人も居たんだけどそのうち三人にいっぺんに」
「やっぱそういうのあるんだ・・・」
「男子のほうはもっとあるでしょ」
「ありますけど」
「つーかその先輩って・・・あのすっげえ美人で乳デッカイ先輩方ですか!」
「あ、ハチそういえばクラクラしてたね三年の頃」
「そうなの?でも先輩たちは竹谷のこと知らなかったと思うよ!」
「最低だコイツ人の思い出に水を差すようなことを」
「三郎も良く言ってるけどね」
「らいぞう・・・」
「・・・どうせ俺は16期OPにも出れなかった群衆の男ですよ・・・
「ああっハチ元気出して・・・!次があるよ!」
「アっごめん!大丈夫だって!ほらあれでしょ?竹谷は・・・あの、背景に竹の絵が・・・」
「全然慰められてる感じしないんですけど・・・」
「え、そう?渾身の慰めだったんだけど」
先輩それマジで言ってるんスか?」
「勿論嘘だよ。全身全霊かけてからかってるよ」
「ですよねー!先輩はそういう人でなしですよねー!」
「まあ、知られてないほうが良かったと思うよー。確かにすっげえ美人でボインだったけど四人とも人格破綻したドSだったから恋人がいなかったもん。小平太ですら近づかなかったよ」
「ちょっと性格悪いだけでしょ?先輩あの頃そんな羨ましいことになってたのか・・・」
「はっはー。薬盛られて緊縛されて三人がかりで襲われかけるのが?変わってるね竹谷。ドM?」
「あ、嘘でした羨ましくないっす」
「そっ・・・そんなことまでされたんですか!?」
「当時のくの一教室の先輩は今より更に富士山二つ分ぐらい過激だったんだよね」
「今より富士山二つ分!?」
「ちなみに薬ってどんな薬なんですか!?エロイ気持ちになるあれですか!?」
「ハチ・・・お前な・・・」
「いや普通の痺れ薬だけど。手足が物凄くしびれて痛い奴」
「・・・いろんな意味で最悪ですね・・・」
「流石に泣きそうになったよ」
「それは泣くだろ」
「いや泣くまではいかなかったけどね。心境的な意味で」
そこで心境的な意味止まり!?先輩どんなとき泣くんすか!」
「長次に自作の官能小説読まれたときはこっそり泣いたよ。5年の夏」
「アンタ一体何してんだ」
「俺もそれ読みたいんですけど」
「僕もちょっと」
「らいぞっ・・・雷蔵ー!!!」
「三郎にも見せてあげてください、先輩」
「残念だけど三人とも厭だよ雷蔵。てゆーかないよもう捨てたよ」
「えー。書いてくださいよ」
「やだよ。もともと一つ上の先輩たちへの嫌がらせのための産物だったし・・・」
「(やっぱり厭な後輩だったんだな・・・)」
「じゃああれだ、そのくの一の先輩に襲われかけた自伝を執筆する」
「どんなドM!?更に厭だよ!何が悲しくて自分で自分の傷抉らなきゃならないの!」
「あ、やっぱりトラウマすか?」
「そりゃあね・・・まあ、いい経験だったよ。必死で逃げて未遂だったし・・・あれは黒歴史ってやつとして思い出にするよ。」
「黒歴史・・・・」
「黒歴史って・・・」
「うん、じゃあ私は留のとこいこっかな。何処にいた?」
「あっ・・・用具倉庫です」
「ありがと。じゃねー!」
「またー」





そ う い え ば !





「・・・・黒歴史といえば」
「・・・・先輩って三年のときまで男だったよな」
「・・・・学級委員長だった。は組の」

「「「・・・・・」」」